計算科学演習A

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授業の内容

概要・目的

大規模データに対する統計処理を通して、高速な逐次計算プログラムを作成する技法と並列計算の初歩を学ぶことを目的とする。数値計算と統計計算について簡単に触れた後、計算機アーキテクチャの説明、キャッシュの有効活用などの話題を解説し、高速な逐次計算プログラムを作成する上での注意点を解説する。さらに、マルチコアCPUを搭載する計算機での代表的な並列計算技法であるOpenMPと分散メモリ型並列計算機のための並列化技法であるMPIについて学ぶ。実習では、最小二乗法の問題を解く為のコードを作成する。最小二乗法については、列フルランク行列の場合には、QR分解によって計算可能である。よって、始めに、列フルランク行列の場合を仮定し、QR分解を行うための逐次計算のコードを、「逐次計算の高速化」の内容を意識して作成する。次に、そのアルゴリズムを基礎として、MPI並列計算用のQR分解法であるAll Reduce アルゴリズムを実装する。列フルランクでない行列については、ピボット選択付QR分解の後、特異値分解を用いてノルム最小二乗解を求めるのが一般的であったが、近年、それに代わるより簡便な新しい手法が提案されており、この授業では、その手法を実装する。さらに、作成した逐次計算のコードをOpenMPの技法を用いた並列計算のコードへと拡張する。


授業計画と内容

全15回の予定は、以下の通りである。

・数値計算と統計計算 (2回)
計算科学の重要な手法である数値解析・数値計算の基礎について講述する。
線形代数の知識について復習した後、計算機で統計計算を行う上で重要となるアルゴリズムを解説する。特に、連立一次方程式の解法であるLU分解、最小二乗法において基礎となるQR分解について解説する。

・逐次計算の高速化(1回)
計算機アーキテクチャの説明、キャッシュの有効活用、データの再利用、さらに演算器の有効活用、効率的なプログラムを作成する上での注意事項などハイパフォーマンスコンピューティングという分野の基本的な内容を解説する。

・OpenMP 入門(2回)
OpenMP並列プログラミングの基本的な考え方と技法について解説する。簡単な課題を用いて実習を行う。

・MPI入門(2回)
MPI並列プログラミングの基本的な考え方と技法について解説する。簡単な課題を用いて実習を行う。

・最小二乗法を行うためのC言語によるコードの作成 (8回)
最小二乗法については、列フルランク行列の場合には、QR分解によって計算可能である。よって、始めに、列フルランク行列の場合を仮定し、QR分解を行うための逐次計算のコードを、「逐次計算の高速化」の内容を意識して作成する。次に、そのアルゴリズムを基礎として、MPI並列計算用
のQR分解法であるAll Reduce アルゴリズムを実装する。列フルランクでない行列については、ピボット選択付QR分解の後、特異値分解を用いてノルム最小二乗解を求めるのが一般的であったが、近年、それに代わるより簡便な新しい手法が提案されており、この授業では、その手法を実装する。さらに、作成した逐次計算のコードをOpenMPの技法を用いた並列計算のコードへと拡張する。

履修要件

・課題実習では、学術情報メディアセンターのスーパーコンピュータを使用します。情報学研究科
に所属の学生は事前に取得しているアカウントを使用します.他研究科履修生については本演習用
に必要に応じてアカウントを配布します。

 

・実習用端末として、ノート型PCを持参してください。持参できるノート型PCがない場合には教
員に申し出てください。


予備知識

 


成績評価の方法・基準

「逐次計算の高速化」の内容を意識した効率的なプログラムを作成する知識を獲得できることを目標とします。さらに、MPIとOpenMPを利用したC言語の並列化プログラミングに関する基礎的知識を獲得することも目標とします。
講義内容の理解度や並列プログラミング技能の習熟度についてレポートにより評価します。出席状況も評価点に含めます。


教科書

講義資料を配布
特に定めない


参考書等

授業中に紹介する
特に定めない


その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)

オフィスアワーについては担当教員の KULASIS 登録情報を参照すること。
木村欣司:kkimur[at]amp.i.kyoto-u.ac.jp
關戸啓人:sekido[at]amp.i.kyoto-u.ac.jp

授業時間外で、質問がある場合には、あらかじめ、上記のアドレスにメールをすること。


授業情報

科目名 計算科学演習A
科目名(英文) Computational Science, Exercise A
配当学年 大学院1回生以上
単位数 1
開講期 前期
曜時限 木5
授業形態 演習
講義室 学術情報メディアセンター南館201
担当教員 情報学研究科特定准教授 木村 欣司
情報学研究科特定助教 關戸 啓人

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