計算科学が拓く世界(平成24年度)

授業の内容

概要・目的

  • スーパーコンピュータを活用して、現象の解明や理解、将来の予測を行う「計算科学」は、理論・実験科学に続く「第3の科学」として注目されています。計算科学は、宇宙・地球物理や生命科学、化学、力学、数学の問題、計算結果の可視化など、幅広い分野の問題解決に役立てられています。
  • 本科目では、最新の計算科学研究がどのような問題にチャレンジし、どのような世界を切り拓きつつあるか、という計算科学の応用分野の研究事例を、各分野の第一線の研究者がリレー形式でわかりやすく紹介します。計算科学の面白さや、計算科学がさまざまな分野で役立っているという事例が理解できます。
  • 本科目は、大学院生も受講可能です(単位の扱いについては、所属部局にご確認ください)。

授業計画と内容(予定)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回数 実施日 講義担当者 所属 講義タイトル 講義内容
前期 1 04月11日 牛島 省 学術情報メディアセンター 流体力学とスーパーコンピューティング 河川の水の流れなど、われわれの身近な流体現象の基本的なメカニズムを解説する。また、スーパーコンピュータを使って、それらを再現する研究例を紹介する。
2 04月18日 榎本 剛 防災研究所 スーパーコンピュータを用いた気象の予測
講義資料[pdf]
毎日の天気予報は、スパコンを用いた数値天気予報に基づいて作成されている。数値天気予報は、世界最初の電子計算機ENIACで弾道計算に続いて2番目に試みられた数値計算である。以来、飛躍的な発展を遂げ、現在の5日予報は25年前の2日予報と同程度の精度を達成している。大気の状態を予測するには、観測から作成した初期値と物理法則に基づく予報モデルとが必要である。この講義では、初期値作成手法と予報モデルの概要について紹介し、大規模数値計算がどのような役割を果たしているかを解説する。
3 04月25日 三浦 岳 医学研究科 生物の形づくりと計算科学 一個の受精卵から複雑な生体の構造が出来上がって行くメカニズムは、分子生物学の情報が大量に蓄積されたいまでもほとんど理解されていない。本講義では、このような生物の形づくりのメカニズムを定式化し、数値計算と数理解析を用いて理解するアプローチを紹介し、その際の計算科学の必要性について概観する。
4 05月02日 中島 浩 学術情報メディアセンター スーパーコンピュータは何故スーパーか
講義資料[pdf]
スーパーコンピュータの歴史、構成原理、構成例を紹介し、スーパーコンピュータおよびスーパーコンピューティングの概念を理解できるようにする。
5 05月09日 山本 量一 工学研究科 シミュレーション科学の挑戦
~メソスケールの物質科学~
計算科学者(∈計算機のユーザー)の立場から、コンピュータの誕生以降の計算機と計算科学の発展を概説し、応用事例の1つとしてソフトマター(高分子、コロイド、ゲル、膜、…)科学分野における計算科学の取り組みについて説明する。
6 05月16日 阿久津 達也 化学研究所 バイオインフォマティクスにおける計算科学 バイオインフォマティクスではDNA・アミノ酸配列解析、タンパク質立体構造予測、遺伝子発現データ解析などにおいてスーパーコンピュータやPCクラスタなどを用いた大規模計算が行われているが、それらについて概観する。
7 05月23日 青木 一洋 生命科学研究科 細胞内情報伝達系のシステムズバイオロジーと計算科学 体の中の細胞はその外部からさまざまな入力因子(成長因子など)を受け取り、その情報を細胞内の分子へと伝達することで、その表現型を出力する。これが細胞内伝達系である。がん細胞は、正常細胞の細胞内情報伝達システムの破綻により生じる。細胞内情報伝達システムは、細胞内分子の化学反応と拡散の連鎖であるので、物理化学的な反応速度論により記述することが可能である。本講義では、いくつかの事例について紹介する。
8 05月30日 竹広 真一 数理解析研究所 計算機で天体内部の流れを考える 地球・惑星・恒星内部の大規模な流れのもっとも基本的なモデルである回転球殻中の熱対流問題が計算機の発達とともに解かれて来た経緯を紹介し、実際の天体内部の流れにどれほど迫れているのか議論する。
9 06月06日 西藤 潤 工学研究科 周期構造の科学と数値計算 周期構造を持つ物質は、特定の波長帯域を遮断する性質を持つ。スーパーコンピュータによって、この波長帯域の特性を調べた数値計算事例を紹介する。また、波の伝播特性や応用事例についても概説する。
10 06月13日 黒瀬 良一 工学研究科 数値流体力学の役割 数値流体力学の概要と課題、および様々な研究開発を行う上でのその適用事例について紹介する。
11 06月20日 中嶋 洋 農学研究科 オフロード車両の走行力学について 農業機械や建設機械車両のオフロード走行を対象として、剛性車輪やタイヤと地盤の接触を離散要素法や有限要素ー離散要素法で解き明かす。
12 06月27日 佐藤 啓文 工学研究科 化学現象・化学反応の理論
~pHから蛋白質まで~
講義資料[pdf]
化学において分子軌道法が果たして来ている役割を概観する。分子の電子状態計算や、これに統計力学手法を組み合わせることで、様々な化学現象・化学過程のメカニズムが明らかとなる。
13 07月04日 八尾 健 エネルギー科学研究科 最小2乗法の原理と応用 我々は測定により自然界と接することができるが、測定には必ず誤差が伴う。誤差の影響を極力抑え、測定の中に潜む科学的真実を明らかにするために、最小2乗法を使用している。線形並びに非線形の最小2乗法の原理とプログラミング、誤差の評価、パラメータの信頼性等について説明する。最小2乗法の応用として、結晶構造解析について解説する。
14 07月18日 小山田 耕二 高等教育研究開発推進センター 可視化の世界
講義資料[pdf]
可視化は、計算機や計測装置等から生成される膨大な数値データから気付きを得るための基盤技術として重要になっている。本講義では、計算科学と密接な関係にある可視化技術の基礎と応用について説明する。
15 07月25日 矢作 日出樹 学術情報メディアセンター 天文学と計算科学 天文学では、研究対象を用いた実験を行うことはできないので、理論を用いて観測される現象を説明することは多くの場合困難であった。しかし、スーパーコンピュータの飛躍的な性能向上により、大規模・高精度なシミュレーションが実現されるに至り、多くの天文学的な問題が解決されるようになってきている。そこで、本講義ではその事例について紹介する。
後期 1 10月03日 牛島 省 学術情報メディアセンター 流体力学とスーパーコンピューティング 河川の水の流れなど、われわれの身近な流体現象の基本的なメカニズムを解説する。また、スーパーコンピュータを使って、それらを再現する研究例を紹介する。
2 10月10日 三浦 岳 医学研究科 生物の形づくりと計算科学 一個の受精卵から複雑な生体の構造が出来上がって行くメカニズムは、分子生物学の情報が大量に蓄積されたいまでもほとんど理解されていない。本講義では、このような生物の形づくりのメカニズムを定式化し、数値計算と数理解析を用いて理解するアプローチを紹介し、その際の計算科学の必要性について概観する。
3 10月17日 中島 浩 学術情報メディアセンター スーパーコンピュータは何故スーパーか
講義資料[pdf]
スーパーコンピュータの歴史、構成原理、構成例を紹介し、スーパーコンピュータおよびスーパーコンピューティングの概念を理解できるようにする。
4 10月24日 平原 和朗 理学研究科 地震発生シミュレーション最前線 計算機上に日本列島を構築し、日本列島下に沈み込むプレート運動を原動力として自発的に地震を繰り返し発生させ、地震発生予測に迫ろうとする、地震発生シミュレーションの現状を紹介する。
5 10月31日 西藤 潤 工学研究科 周期構造の科学と数値計算 周期構造を持つ物質は、特定の波長帯域を遮断する性質を持つ。スーパーコンピュータによって、この波長帯域の特性を調べた数値計算事例を紹介する。また、波の伝播特性や応用事例についても概説する。
6 11月07日 石岡 圭一 理学研究科 地球流体力学における計算機利用について 気象学や海洋物理、さらにはマントル対流やコアのダイナモまでの基礎をなすのが地球流体力学である。地球流体力学の研究には計算機を利用した数値実験が欠かすことができない。本講義では地球流体力学の研究にどのように計算機が利用されているのかを簡単な例を用いて平易に解説したい。
7 11月14日 阿久津 達也 化学研究所 バイオインフォマティクスにおける計算科学 バイオインフォマティクスではDNA・アミノ酸配列解析、タンパク質立体構造予測、遺伝子発現データ解析などにおいてスーパーコンピュータやPCクラスタなどを用いた大規模計算が行われているが、それらについて概観する。
8 11月21日 岡本 久 数理解析研究所 非線形力学入門 身近な力学現象、特に、水の流れや表面張力の生み出す物理現象のモデル化とその数値計算法について解説する。
9 11月28日 木元 小百合 工学研究科 地盤の変形シミュレーション 様々な土木構造物の基礎となる地盤は、一般的に空気・水・ 土からなる混合体であり、その変形挙動は複雑である。豪雨や地震時の地盤災害、新エネルギーであるメタンハイドレート海洋開発などを取り上げ、地盤変形シミュレーションについて紹介する。
10 12月05日 中嶋 洋 農学研究科 オフロード車両の走行力学について 農業機械や建設機械車両のオフロード走行を対象として、剛性車輪やタイヤと地盤の接触を離散要素法や有限要素ー離散要素法で解き明かす。
11 12月12日 黒瀬 良一 工学研究科 数値流体力学の役割 数値流体力学の概要と課題、および様々な研究開発を行う上でのその適用事例について紹介する。
12 12月19日 佐藤 啓文 工学研究科 化学現象・化学反応の理論
~pHから蛋白質まで~
化学において分子軌道法が果たして来ている役割を概観する。分子の電子状態計算や、これに統計力学手法を組み合わせることで、様々な化学現象・化学過程のメカニズムが明らかとなる。
13 12月26日 八尾 健 エネルギー科学研究科 最小2乗法の原理と応用 我々は測定により自然界と接することができるが、測定には必ず誤差が伴う。誤差の影響を極力抑え、測定の中に潜む科学的真実を明らかにするために、最小2乗法を使用している。線形並びに非線形の最小2乗法の原理とプログラミング、誤差の評価、パラメータの信頼性等について説明する。最小2乗法の応用として、結晶構造解析について解説する。
14 01月16日 木村 欣司 情報学研究科 世界最長の多項式を計算する
-判別式計算世界記録への挑戦-
17次の判別式の公式を計算する方法を紹介する。
15 01月23日 小山田 耕二 高等教育研究開発推進センター 可視化の世界
講義資料[pdf]
可視化は、計算機や計測装置等から生成される膨大な数値データから気付きを得るための基盤技術として重要になっている。本講義では、計算科学と密接な関係にある可視化技術の基礎と応用について説明する。

履修要件

特になし。


予備知識

理系・文系を問わず、予備知識のないすべての学生が受講可能です。


成績評価の方法・基準

各授業の担当教員がレポート課題等を出題し、授業内容の理解度等を基準として成績評価を行います。


教科書

特になし。


参考書等

各担当教員が必要に応じて指示します。


授業情報(予定)

科目名 計算科学が拓く世界
英文科目名 Introduction to Computational Science
B群
単位数 2単位
開講期 前期、後期(前後期同じ内容で講義)
週コマ数 1コマ
授業形態 講義
対象回生 全回生
対象学生 全学向
曜時限 水曜日・5時限
教室 学術情報メディアセンター南館202室

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